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中小企業・自営業のファイナンシャルプラン


何が心配ってさ、明日喰っていけるか、来月喰っていけるか
っていう将来のことが一番心配な訳よ!

保険を使った資金繰り
       
         
貯蓄型の保険は資金繰りの最後の砦
 

●貯蓄型の保険

 養老保険や終身保険、長期の定期保険いろいろな貯蓄型保険があります。
 これを黒字のうちに加入しておけば、
いざというとき資金繰りに使えるという話。
 保険外交の常套手段でもあります。
 

●終身保険
 
社長さんは、掛け捨ては嫌だからと、終身保険に入ります。
 「俺が死んだら、1億円の保険」。

 終身の保険ですから、人間いつかは死んでしまいます。だから、会社のお金からこの保険に入って、受取人も会社にしておくと、いずれは会社のものになるお金として、「資産計上」していかないといけません。

 つまり、
保険料は積立金として扱われます。

 
積立金ですから、解約すれば解約返戻金が手に入ります。配当も積立金として資産計上して、資金繰りに使えます。
 ただ、
 「保険料を損金にできない」という欠点があります。

 でも早合点してはいけません。保険料を受け取った時、すでに積立金があるんです。
 その積立金と保険金の差額だけが益金です。これは掛け捨て定期保険とは大きく違うところ。
益金が少ないということは税金も少なくなるということです。最初に節税するか最後に節税するかの違い。この誤解をしている方が非常に多いです。



●定期保険
 
社長さんは、万が一のために保険に入ります。
 「俺が死んだら、1億円の保険」。
 会社のお金からこの保険に入って、受取人も会社にしておくと、死亡したら会社に保険金が支払われ、とりあえずの会社運営には困りません。

 が、定期保険は、60歳とかの年齢を指定して入る有効期限つきの保険です。この時までに死亡しなければ、保険金は出てきません。生きていれば掛け捨て。

 だから、基本的に資金繰りには使えません。保険屋さんの利益率が高い保険。
 今月のノルマが厳しい保険屋さんはこれを勧めます。
  ※万が一の保障をかんがえるなら、これがいいですが、
資金繰りには使えません

 経理上は、
    保険料 
損金。 

 会社経営やその後の生活を「保険」するときには、これが一番安くて負担の低い保険です。

●長期平準定期保険

 社長さんは、「損金にできる他の保険は無いのか?」と保険アドバイザーに尋ねました。

 そこでアドバイザーが出してきたのが、この「長期平準定期保険」。

  これは定期保険の一種なのですが、下記を満たせば、一部を損金にでき、資金繰りにも使えます。

   (1)満了時の年齢が 70歳を超えていること
   (2)(入った時の年齢)+(保険期間×2) が105を超えていること



  この場合に、支払った保険料は
   (a)保険期間の前半6割の期間については、
     半分が前払いとして資産計上・残り半分が損金にできます。
   (b)保険期間の後半4割の期間については、
     全額損金

 これのポイントは(a)の部分で前払いがあるということ。すなわち、若い間の6割は余分に保険料を払っておいて、残り4割の期間でそれを取り崩すという考え方をするようになっています。
 
前払いがあるということは、それは「お金になる」という事を意味しますよね。


  具体的な例の方がわかりやすいでしょう。

  40歳の人が、80歳までの定期保険に入ります。
払込者も受取人も会社で、年額300万の保険料とします。この時の仕訳は、

【前半6割】40〜64歳
         保険料 150万 / 現 金 300万
         前払い 150万
              。。。。すなわち
半分損金になる。半分は前払い。
【前半4割】65〜79歳
         保険料 300万 / 現 金 300万
         保険料 225万 / 前払い 225万
                  ※ 225万=(150万×24年)÷16年

 でもって、これを、65歳前後、例えば70歳で解約、あるいは部分解約なんかしますと、前払い分が残っているので、取り崩し分・益金が出てきてしまうわけです。
 資金繰りに使えるでしょ。

 

●逓増定期保険

  これも定期保険の一種で、長期平準の変形です。
  平準ではなく、だんだん増加するインフレタイプ。
  条件は、

   (1)満了時の年齢が 60歳を超えていること
   (2)(入った時の年齢)+(保険期間×2) が90を超えていること

  若干年齢・期間要件は緩和されていますが、損金算入割合というものが出てきます。

 

●国税庁の見解が・・・

 節税+財テク目的で、逓増定期や長期傷害を勧める保険の営業さんは多いです。
 私も一応勧めます。が、解約返戻金の多い長期傷害保険については2006年に、逓増定期については2007年に
国税庁は、「大半を資産計上にするのが望ましい」という見解を出し過去の通達の解釈を変更してきています。

 普通の税理士さんは、通達を元に損金にできるできないを判断しますが、優秀な税理士さんは、その通達の根拠を考えます。

 「この保険って解約返戻金多いよなぁ。だったら資産じゃないのか?」
 「そのうち、国税庁は絶対言ってくるよな」

 単なる知識だけの税理士さんは、その時そのときの判断で正確にお仕事されますが、さらに上を行く税理士さんは、税金の趣旨に照らしてその先を読み取ります。

 仕事だってそうでしょ、今、目の前にある仕事と将来の見通し、「今日の注文は来月はないかもしれない」。 先を読まなければいけません。税金に関して言えば、「税金の本来の趣旨」です。「解約返戻金が多いんだったら資産だろ」当然の結果です。
(なお、過去に遡及されるかどうか、これはどうでしょう。私はないと思います。ストックオプションの税務見解の変更でもそうでしたが、見解の変更ですので十分な周知をした上でないと遡及要求はしないのではと思っています。)

 話を戻します。この税務、勘違いしてはいけません。いままでの税務計算は損金を過大にしすぎていたということであって、上の終身保険のところでも書きましたが、最初に節税するか最後に節税するかです。過大な財テクではなく、本来の積立+運用益、これを考えると決して損な物ではないと思います。

 私のお薦めは下の養老保険(ハーフタックス)。
 が、財テクではありません。本来の趣旨である社員全体の福利厚生を目的とした「積立+運用+節税」。これがもっとも理にかなっていると思うのです。


 

●養老保険(ハーフタックス)

  これは、被保険者を社長と従業員全員とか「普遍的加入」の場合に、半分が損金に、半分が資産計上、というやつで、ハーフタックスとして有名です。どちらかというと、福利厚生を目的とした保険。

  ハーフタックスになるには、支払者が法人であることは当然として、これ以外に、
      被保険者が普遍的加入すること(全員加入。
                ただし、2年目以降の従業員等というのはOK)
      満期金の受取は法人。死亡保険金は遺族であること

  あと、退職金準備として過大でないことなどの要件があります。


  
これも積立分があるので、いざというときには取り崩せます。
  が、本来従業員退職用のものだから、倒産寸前とかじゃなければできれば置いておきたい資産。。。。。。つっても、明日が危なければ、これがあれば何とかなったりするかも。
従業員の保険であり、会社にとっても保険になったりします。

 

 
 節税も大切ですが、それ以上に、「相続時の資産評価」と「引退時の株贈与」、この対策をしておかないと多額の相続税・贈与税がかかることも多いです。要注意。
 
持っている資産(たいていは土地)を株数で割った額が一株あたりの財産額となるからです。これを知らずに株=出資金だけの相続と思っていると、相続税がかかり一気に運転資金・現金が無くなることがあります。

 (※実際には、純資産の評価と類似業種との比較などとあわせて評価されます。)
 

 ※私も相談でお金を頂いている仕事をしていますので
 これ以上のことは、ちょっと申し上げられません。